松山市文化創造支援協議会

PROGRAM

プログラム

アートプロジェクト
調査研究
展覧会「わたくし美術館開館支援センター」

松山市文化創造支援協議会

<企画>

深澤孝史(美術家)

<企画協力>

土山あやか(子ども造形アトリエnekko講師)

個々人の美的感性によって所有された作品をもとに私設美術館を市民自身が作り開いていく「わたくし美術館」という運動を提唱した愛媛県大洲市出身の尾崎正教と、それに呼応して松山市梅津寺の自宅の畑に「とり小屋美術館」を設立した松川太郎の活動を美術家の深澤孝史は調査してきました。
今回の展覧会ではこれまでの調査に加え、松川太郎や尾崎正教の活動資料や版画作品などを展示し、彼らの活動の軌跡を知って、現代を生きる私たちが「わたくし美術館」をどのように開設していくべきかを考えていく場所として開いていきます。

関連プログラム
(1)トーク「わたくし美術館ととり小屋美術館って何?」
日時:2023年12月3日(日)17:00~18:30(90分)
会場:PAAC 平和通りアートセンター
参加無料・予約不要
ゲスト:杉山はるか(愛媛県美術館専門学芸員)
ファシリテーター:深澤孝史(美術家)

(2)ワークショップ
「小さな美術教室を行き来する廊下のようなオンラインネットワーク~オンラインで版画をつくろう!」
日時:2024年1月19日(金)16:45 〜18:15(90分)
会場:Zoom開催(オンライン)
参加無料・要予約
ファシリテーター:深澤孝史(美術家)、土山あやか(子ども造形アトリエnekko講師)


この度松山に、「わたくし美術館開館支援センター」を開設する運びとなりました。
1970年代から2000年代を中心に隆盛した「わたくし美術館」という運動があります。尾崎正教(1922-2001)という一教員が美術教育に熱心に取り組むうちに、現代美術の世界に飛び込み、1950年代から芸術と市民の社会生活とを結びつける活動をはじめ、生涯をかけて行いました。美術評論家で創造美育協会の創設者である久保貞次郎の元、彼は現代美術家の「版画」を安価で販売することを美術教育普及の基礎になると確信し、教員や保育士、地域の画廊などのネットワークを駆使して日本全国に「小コレクター」を広めていきました。そしてそれぞれが自身の美的感性で入手したコレクションを展示公開する場を作る活動を「わたくし美術館」としました。それは尾崎にとって、それぞれ個人が主体的に民主国家を具現化するための方法・実践であり、終生続いた教育活動でした。
この松山にも尾崎正教氏の活動に共鳴し「わたくし美術館」を開いた松川太郎(1926-2002)という画家・小学校教員がいました。彼は家の畑に建てた鶏小屋跡を利用し「とり小屋美術館」を開きました。とり小屋美術館は美術展、芸術家のサロン、子どもたちの遊び場として活用されていきました。私は、とり小屋美術館に影響を受け現在自宅を解放して美術教室を開く土山あやか氏と出会ったことでこれらの活動を知りました。僕は教育学部出身でアートプロジェクトを気づくと10年以上続けているということもあり、尾崎正教氏らの活動に勝手に共感し、彼の活動の延長に自分の活動があると考えるようになりました。「わたくし美術館」運動は、作品を作る美術家でも、作品を批評する評論家でもない、作品と人との関係を重視してきた美術教育家という立場の尾崎正教だからできた活動ではないでしょうか。戦後間もない頃から始まる初期の活動は芸術と教育の土壌を根本から耕していくものでしたが、日本が豊かになっていくにつれ、国や自治体によって公立美術館が整備されたり、作品の商業的な価値が高まったりしていくことで、彼の活動は当時の美術界の主流とのズレが生じてきました。彼は立派な美術館を作るといったような制度や仕組みに満足するのではなく、個々人の主体的な活動が集まり生まれる運動を一貫して重視していました。その態度は、理念の仮設的な具現化という点で現在のオルタナティブなアートプロジェクトとも酷似しており、巡り巡って現在に先駆けた活動になっています。
今回は「わたくし美術館」を中心とした尾崎正教らの活動を振り返ることで、現在において「わたくし美術館」をどのように開設するべきかを考えていく場所を開きますので、ぜひご来場いただければ幸いです。

深澤孝史

企画:深澤孝史(美術家) 企画協力:土山あやか(子ども造形アトリエnekko講師)

  • 深澤孝史
    (美術家)

    1984年山梨県生まれ、札幌市在住。
    国内外様々な場所でプロジェクトを実施。
    主なプロジェクトに、住民の「とくい」を流通させる《とくいの銀行》(取手、山口、札幌、他 2011~)住民の主体的な歴史観を取り戻すためもう一つの自治体を立ち上げる《常陸佐竹市》(常陸太田、2016)など。

  • 土山あやか
    (子ども造形アトリエnekko講師)

    1977年愛媛県生まれ。2009年より子ども造形教室の講師。友人と作ることを楽しむユニット「ne++ko」を組み、子ども向けのワークショップを開催する。現在は自宅で「子ども造形アトリエnekko」を開き、子ども達と一緒に活動している。

  • カテゴリ
    アートプロジェクト
    調査研究
  • 開催日
    2023年12月3日(日)~2024年1月26日(金) ※年末年始12月23日(土)~1月8日(月・祝)は休館
  • 開館時間
    平日11:00~15:00
    祝・日13:00~19:00
    土曜休館
  • 企画

    深澤孝史(美術家)

  • 企画協力

    土山あやか(子ども造形アトリエnekko講師)

  • 会場

    PAAC平和通りアートセンター
    (愛媛県松山市平和通1-1−2 物語カフェかまどねこ2階)

    最寄り駅:伊予鉄道市内電車 平和通一丁目駅・上一万駅より徒歩3分

    ※駐車場はありませんので公共交通機関をご利用ください。

  • 入場料金・関連プログラム参加

    無料

  • オンラインプログラム申し込み

    お申込みhttps://forms.gle/JmUyTRrs7hyBCVbA7

  • お問合せ

    松山市文化創造支援協議会
    tel:080-2343-9345